惑溺オフィス~次期社長の独占欲が止まりません~

「痛みは?」
「痛み止めを飲んでいるので平気です」
「それはよかった」


チラッと見た副社長の横顔にほっとしたような表情が浮かんだ。


「休みの日とか、香奈はなにをしてる?」


か、香奈……!

副社長に突然ファーストネームで呼ばれ、ドックンと心臓が大きく跳ねる。


「あ、ごめん。名前で呼ばれるのは嫌い?」
「いえっ、そんなことは全然ないです」


急いで首を横に振る。副社長からそんなふうに呼んでもらえる日がくるなんて夢みたい。憧れていた副社長の運転する車の助手席に乗り、名前で呼ばれる。しかも今は、私の彼氏。

考えられないような状況を改めて思い知って、鼓動を宥めることすらできない。


「香奈も俺のことは陽介って呼んで」
「ですがっ……」


副社長をファーストネームで呼ぶなんてとんでもない。


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