惑溺オフィス~次期社長の独占欲が止まりません~
「副社長、今日は変なことに巻き込んで申し訳ありませんでした。これでたぶん兄の干渉も減ると思います。ありがとうございました」
あとは過干渉が減ることを祈って……。
「貴重なお休みだったのに本当にすみませんでした。では失礼いたします」
頭を下げて副社長に背を向けようとしたときだった。
「ちょっと待って、香奈」
呼び止められて振り返る。
「どこへ行くつもり?」
「……どこって……帰ろうかと思いまして……」
これ以上、副社長の時間を拘束するのは申し訳ない。
「まだ太陽はこんなに高いのに帰せないよ」
副社長が空を見上げて肩をすくめる。
「俺たち、付き合ってるんだよね?」
「は、い……」