惑溺オフィス~次期社長の独占欲が止まりません~
高速道路に乗った車はぐんぐん加速していく。
「どこへ行くんですか?」
「それは着いてからのお楽しみ」
副社長が冗談めかして笑う。そんな横顔を見ていると訳もなく嬉しくなる。
本物の恋人同士じゃない。期間限定の恋だけど、その分副社長にも楽しいと思ってもらえるようにしたい。
そんな想いが私の心に芽生えていた。
「付き合って日も浅いし、紹介がてらお互いのことを話そうか」
ハンドルを握りながら、副社長が唐突に提案を持ちかける。
「自己紹介ですか?」
「そう。趣味だとか昔話だとか、なんでも」
副社長におもしろいと思ってもらえるようなネタは私にはないけれど、なんだか楽しそう。副社長のことをもっと知りたい。
「じゃ、俺からいくよ。趣味は筋トレ」
副社長はやけにノリノリだ。