惑溺オフィス~次期社長の独占欲が止まりません~

「お、お兄ちゃん……」


スーツ姿の兄だったのだ。ちょうど帰ってきたところらしい。


「香奈、今のはなんだったんだ」


えっ! もしかして見られていたの!?

顔面蒼白の兄は、今にもその場に倒れてしまいそうな様子だった。


「な、なにって……」
「こんな時間まで一緒だったのか……」
「つ、付き合っているんだから、別におかしくはないでしょう?」


私のキスシーンを目撃したことが相当ショックだったようで、兄はふらふらと危なっかしい足取りでマンションへと吸い込まれていった。

いっぽうの私は、陽介さんに突然されたキスで舞い上がり、地に足がついていない状態。兄以上におぼつかない足取りでなんとか部屋に辿り着いたのだった。

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