eternity
欲しいものが君以外ない。

空は最近悩んでいる日が多いらしい。

雲ってみたり、晴れてみたり、雨降ってみたり。

今日も、朝は晴れていたのに、夕方18時を回った今は、雨。

「まるで私の心を映しているかのようだね。」
私は空に向かって呟いてみた。

仕事が終わって、帰宅途中。
朝は晴れていたから傘は持っていない。
コンビニに寄って買おうか悩んだが、その悩みは一瞬だった。

「濡れて帰ろう。」

私は 業と濡れて帰る方をすぐに選んだ。

来るもの拒まず でいるような気分で・・・。

私にはずっと好きで好きで仕様がない人がいる。
でも、その人は小さな劇団員の人で、舞台が忙しく、私のことなんてなんとも思っていない。
舞台にはよく行く。
それで、舞台終わりに出てくるのを待って本人と話すこともある。
内容は 舞台についてで、個人の話しは殆どしない。

私が彼を好きなのは 彼自身知っている。

去年の春。私は告白した。
返事は曖昧だった。

「嫌いとかじゃない・・そうじゃない・・好きだけど・・そうじゃない・・」

じゃーどうなのよ?
って思った。

でも、はっきりさせるのが恐かったから、私は笑って
「そっか。うん。わかった」
とだけ言った。

曖昧に甘えてしまっているのが現状。

そしてその曖昧から逃げ出したいのも現実。

もう忘れよう。
そう自分の中で言い聞かせた。

彼は舞台役者として、これからきっと有名になる。
私はただのOLで、世界が違う。
だから・・出会えただけで、ステキなこと。
彼が元気に舞台やっているのなら、私はいい。

そう決めた。

勝手に

自分で。

だから、舞台にも行かなかった。
ずっと 逢いたい気持ちや舞台観たい気持ちを 殺して。
ひたすら仕事して、友達に男の子紹介してもらったりして。

仕事は別に嫌じゃない。
紹介してもらった男の子も悪い人じゃない。
何度か食事したりもした。
手繋いだり、ちょっと付き合ってるんじゃないかって思うような感じでいた。
そうやって、そうやって。
日々 私は彼から遠ざかっていけると信じていた。


「あ・・雨・・止んだ・・」

空は雨から曇りに変わった。

< 1 / 21 >

この作品をシェア

pagetop