『桜庭准教授的”好き”の理論《short ver.》』
さらに問題なのは、この関係が始まってしまった時思わず口を滑らせて、
「好きでもない女を抱くつもりですか」
と、言う私の発言だった。
それ以来、彼は行為を繰り返すたびに、思ってもいない事を囁く様になってしまったのだ。
例えば、首元に舌を這わす時。
例えば、キスを一つ落とす時。
例えば、後ろから抱きしめてくる時。
彼は私の耳元で何度も、何度も飽きる事を知らない様に、「”好き”」という言葉を執拗に繰り返すのだ。
気持ちのないその「”好き”」を繰り返される度、私の心は抉られていく。
初めは確かに、彼の思考が好きだった。
その自由な思考に憧れを抱き、尊敬すらしていたのだ。
だけどその憧れは、次第に行為を繰り返すごとに、恋慕へと姿を変えてしまっていた。
どうして、こんな最低な男を好きになってしまったのだろう。
私をかき抱くこの腕を、間違っていると分かっていながらも、愛おしいと思ってしまうのだ。
愛されているのは私ではないのに、想いを止める術が私にはもう分からなかった。
「好きでもない女を抱くつもりですか」
と、言う私の発言だった。
それ以来、彼は行為を繰り返すたびに、思ってもいない事を囁く様になってしまったのだ。
例えば、首元に舌を這わす時。
例えば、キスを一つ落とす時。
例えば、後ろから抱きしめてくる時。
彼は私の耳元で何度も、何度も飽きる事を知らない様に、「”好き”」という言葉を執拗に繰り返すのだ。
気持ちのないその「”好き”」を繰り返される度、私の心は抉られていく。
初めは確かに、彼の思考が好きだった。
その自由な思考に憧れを抱き、尊敬すらしていたのだ。
だけどその憧れは、次第に行為を繰り返すごとに、恋慕へと姿を変えてしまっていた。
どうして、こんな最低な男を好きになってしまったのだろう。
私をかき抱くこの腕を、間違っていると分かっていながらも、愛おしいと思ってしまうのだ。
愛されているのは私ではないのに、想いを止める術が私にはもう分からなかった。