フツリアイな相合い傘


学校を出てからもう何度吐いたかわからないため息をこぼしたとき、数メートル先の住宅の間にある空き地の前で黒っぽい塊が丸まっているのが見えた。

よく見ると、それは制服を着た男の子の後ろ姿で。

その制服は、うちの高校の男子のものと酷似していた。

背中を向けてしゃかみこんでいる彼の向こうの地面に、なぜか傘が開かれて置かれているのがちらりと見える。

どうしてこんな雨の中、地面に傘なんか置いて座り込んでるんだろう。

疑問に思いながら見ていると、それまでうつむいていた彼が頭を上げた。

その瞬間、黄色に近いくらい明るい茶髪の後頭部が視界に飛び込んできたからぎょっとした。


何、あのひと。

明るい茶髪の後ろ姿だけで判断するのは偏見かもしれないけど。


こんな雨の中、傘を置いてひとりで座り込んでるなんて。

ちょっとヤバい人かもしれない。


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