フツリアイな相合い傘
「断言!佐尾、何か弱み握られてるんじゃないかな」
「まさか。佐尾くんが西條さんのことが好きってのもあり得るかもよ?」
「やだー。あたしだってずーっとそばで佐尾のこと見てたのに。どうして西條さんみたいな地味な子に横から持ってかれなきゃいけないの?そろそろあたしが報われてもいい頃じゃない?」
ははっと笑い声が聞こえて、上履きがきゅっと床を擦る音がした。
清水さん達がトイレから廊下の方に歩いてきているのか、少しずつ声が近くなる。
でも彼女達の話は決して途切れることはなかった。
「佐尾って、昔からぼっちの子とかちょっと暗い子に優しいんだよ。男女問わず……」
ぼっちの子とか、ちょっと暗い子に……
清水さんの言葉が、グサリと胸に突き刺さる。
そんな言葉、これまで陰で言われ慣れてる。
今さら、その言葉で直接的に傷付いたりなんかしない。