フツリアイな相合い傘


そんな佐尾くんが私の名前を知っていたことに驚いた。


「西條さん、俺のこと知ってたんだ?」

佐尾くんのほうも私が彼の名前を知っていたことが意外だったらしい。

驚いたように何度も目を瞬くから、反応に困ってしまった。


「そりゃ、まぁ……」


佐尾くんは同じ中学出身だけれど、高校2年生で初めて同じクラスになった。

いつもにこにこしていて人当たりのいい佐尾くんは、中学生の頃から男女ともに人気があって、常にグループの中心にいるような男の子だった。

当然それなりに女の子にモテてたし、たぶん同じ中学で佐尾くんを知らない子はいないくらいだと思う。


高校に入ってからも彼の人当たりの良さは変わりなくて。

やっぱり、男女ともにたくさん友達がいるように見えた。

高校生になってからはグンと背が伸びて、顔付きも大人っぽくなったように思われる彼は、ますます女の子にモテている。


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