フツリアイな相合い傘
佐尾くんが困ったように眉を寄せながら、甘えた声で鳴く子猫の頭を撫でる。
「今、保護できるやついねぇか友達に片っ端からあたってて返事待ち。うちに連れてってやりたいんだけど、俺ん家のマンションペットダメでさ。おまけに、母親が猫アレルギーなんだよ。こんなかわいーのにな、お前」
佐尾くんがとても優しい目をして愛おしげに子猫を見つめる。
その横顔に、ほんの少し心が揺れた。
「少しの間なら保護頼めるかも……」
「え?」
顔を上げた佐尾くんが、ゆっくりとひとつ瞬きをする。
「従兄弟が獣医してる病院が近くにあって……」
「そうなんだ?すげーじゃん!」
最後まで言ってないのに、佐尾くんが期待いっぱいに目を輝かせたからちょっと焦った。
「あ、でも、まだ最近なったばっかりで。見習いみたいな感じで働いてるから、確実に頼めるかはわからないんだけど……」