フツリアイな相合い傘
6.雨の日は、
保健室のベッドから起き上がって窓の外をみると、しとしとと雨が降っていた。
私がここにやって来たときよりも空が薄暗い。
今、何時だろう。
ベッドの脇に揃えて置いた上履きに足を入れながら薄いレールカーテンを開くと、その音に気がついた保健室の先生が振り向いた。
「起きたのね。気分はどう?」
そう言って立ち上がると、先生が私に歩み寄ってくる。
「もう、大丈夫です。え、っと、今って……」
元々体調不良だったわけではないから、心配そうな先生の目をまっすぐに見返すことができない。
時計を探して視線を動かしていると、先生が白衣の袖を軽く捲って言った。
「もう下校時刻よ。ちょうど少し前にSHRが終わった頃じゃないかな」
「下校……」
調理実習があったのは3、4時間目。
どうやら私は随分寝てたらしい。