フツリアイな相合い傘
それなのに、私なんかにこんなこと言って……
本気だったら絶対どうかしてる。
信じられない気持ちのほうが大きいのに、私の胸は呼吸するのが苦しいほどに高鳴っていた。
表情を強張らせて動けずにいる私を見下ろして、佐尾くんが困ったように耳を掻く。
「え、っと……そろそろ何か反応してもらっていい?一応今のとこまで全部、告白なんだけど」
ジッと真っ直ぐな目で見つめられて、じわじわと顔が、身体が熱くなっていくのがわかる。
「あ、え、っと……」
何か反応してと言われても、どうすれば……
しどろもどろになる私を見かねたらしい。
佐尾くんが肩をすくめて、クスリと笑った。
「やっぱり、西條さんが俺の気持ち知っててくれたら、今はそれでいいや」
ずっと手首に感じていた佐尾くんの温度がすっと離れる。
その瞬間、ひどく淋しい気持ちになった。