フツリアイな相合い傘
「待たせてごめんね」
「全然……」
「行こっか」
すぐに目を伏せて首を横に振る西條さんの手を半ば強引につかんで引っ張る。
俺に引かれるようにして立ち上がった彼女が、困惑気味に視線を揺らしながら、遠慮気味に繋いだ手を少しだけ握り返してくる。
前まではうっかり触れてしまって拒絶されることの多かった手が繋がっている。
ちゃんと俺の彼女なんだって、実感が湧いてくる。
思わずにやけそうになる顔を西條さんに見られないように伏せながら、ふたりで歩いて公園を出た。
「腹減ってない?電車乗る前に、駅の近くで何か食べる?」
駅に向かって歩きながら振り向くと、俺の視線に気付いた西條さんが飛び跳ねるように顔をあげた。
「あ、うん。どっちでも。佐尾くんがお腹空いてれば……」
西條さんが控えめにそう答える。
ちょっと考えてから、俺たちは駅前のハンバーガー屋さんで腹ごしらえしていくことにした。