フツリアイな相合い傘



ハンバーガー屋でポテトの付いたセットを食べる俺の向かいで、ハンバーガーとSサイズのポテト、それからやっぱりSサイズのドリンクを頼んだ西條さんは、いつも以上に伏し目がちで控えめだ。


「あんまり腹減ってなかった?」

心配になって聞いたら、彼女がぱっと顔を上げて慌てて首を横に振る。


「え、っと、そうじゃなくて……佐尾くんと学校が休みの日にこんなふうに出かけるのって初めてだから……」

「緊張しちゃって……」と口ごもりながら西條さんが消えそうな声で言うから、思わず笑ってしまった。

頬を染めた西條さんが、手元のドリンクのカップを両手で包んで顔を隠すようにしながらそれを飲む。

今まで数人の女の子と付き合ったことはあるけど、こんなに一挙一動目が離せなくて、可愛いなぁと思うのは初めてだった。

ここがハンバーガー屋じゃなくて、西條さんと俺を隔てるテーブルがなければ、間違いなく抱きしめてる。


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