フツリアイな相合い傘


西條さんが緊張気味に最後まで食べ終わるのを見守ると、ふたり分のトレーを持って立ち上がった。


「じゃぁ、行こっか」

「あ、私が……」

ふたり分のトレーを捨てに行こうとする俺を見て、西條さんがあたふたと立ち上がる。

その様子を横目に見てクスリと笑いながら、彼女に追いつかれる前にゴミ箱にトレーのゴミを勢いよく突っ込んだ。


「ごめんね、ありがとう」

申し訳なさそうに眉を寄せる西條さんに笑いかけたとき、ハンバーガー屋に入ってきた5人くらいの男子の集団に急に話しかけられた。


「あれー?佐尾?」

そのうちのふたりは同じ中学出身で、よく知っている。

ひとりは一緒のバスケ部だったやつで、もうひとりは中3で同じクラスになって、当時割と仲が良かったやつだ。


「こんなとこで何やってんの?」

一緒にいた友達3人はオーダーをするために先に歩いて行って、顔見知りのふたりが俺に近づいてくる。


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