フツリアイな相合い傘
確かに、今まで付き合ったことのある子は学校でも目立つタイプの子が多かった。
だけど、それは今西條さんと付き合ってることとは全くの無関係。
俺が今確かに惹かれてるのは、目の前にいる彼女以外にいないのだ。
「俺があいつらから西條さんのことを遠ざけたのは、気まずいとかそんな理由じゃないよ。富谷が強引に西條さんの連絡先とか聞こうとしてたから、少しでも早くあいつから遠ざけたかっただけだから」
「大丈夫。気を遣ってくれなくても平気だよ?」
ようやく俺に視線を向けてくれた西條さんが、俺を気遣うように小さく笑いかけてくる。
だけど、その笑顔が俺を微妙に傷付けた。
「気遣いとかじゃなくて……普通に嫉妬した。富谷って、中3のときによく、西條さんのこと可愛いって騒いでたんだよ。そんなやつに、西條さんの連絡先なんて教えられねぇだろ」
俺が真顔でそう言うと、西條さんが頬を真っ赤に染めて全力で首を左右に振った。