フツリアイな相合い傘
「それ、絶対富谷くんの冗談だよ。私なんかに、本気でそんなこと思うはずないし」
西條さんの表情を見れば、謙遜じゃなくて本気でそう思っているのだとわかる。
だとしたら、西條さんのこと好きな俺の気持ちは……?
それも、本気じゃないって思われてるってことなのか?
だとしたら、人の気持ちをあんまり見くびらないでほしい。
「それ、言わない。私なんか、ってやつ」
つい苛立って、口調がキツくなる。
強い口調で話す俺を見て、西條さんが驚いたように目を瞠った。
そんな彼女の目を真っ直ぐに見つめる。
そうしたら彼女が困って目を逸らそうとするから、逃げられないように手首をしっかりつかまえた。
「あの、佐、尾く……」
「俺が西條さんと一緒にいるとき、いつも何考えてるか知ってる?」
名前を呼ぼうとする声を遮って問いかけると、西條さんが困惑顔で小さく首を傾げた。