フツリアイな相合い傘

朝起きたときは、雨の予感なんて感じられないくらい爽やかな青空だったはずなのに。

下靴に履き替えて昇降口を出た私は、どんより曇った空からしとしとと降る雨を見つめてため息をついた。


午後からの降水確率は30%。

微妙なラインだけど、帰宅するまでは大丈夫だろう。

そう踏んでたのに、ついさっきスマホで天気予報を確認したら、30%だった降水確率が70%に上がってた。


詐欺だ、詐欺……

胸の内で文句を言いつつ、どんなに晴天でも必ずカバンに忍ばせている超軽量の折りたたみ傘に手を伸ばす。

小さくたたまれたそれを広げて雨空に向かって開く寸前、私はあることを思い出してそっと後ろを振り返った。



< 2 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop