フツリアイな相合い傘
従兄弟の動物病院に預けてから2週間、佐尾くんは必死で飼い主を探していた。
子猫をもらってくれそうな人ががいれば聞いてみてほしいと、私も頼まれたけど……
生憎私には、拾ってきた子猫の里親をお願いできるほど近しい距離にいる知り合いがいなかった。
結局、従兄弟と約束した2週間が経っても子猫の飼い主を見つけることはできなくて。
落ち込む佐尾くんを連れてふたたび動物病院に行くと、それなら、と私の従兄弟が飼ってくれることになった。
「今度あいつに会ったら、写真撮って送ってよ」
別れ際、笑って手を振る佐尾くんに、社交辞令的に頷く。
「じゃぁ、また明日」
手を振りながらエントランスの奥へと消える佐尾くんに、私も軽く手を振り返してその場を去る。