フツリアイな相合い傘


佐尾くんに何度か軽いボディタッチをしながら笑っている清水さんを見つめながら、やっぱり今日の放課後は雨のほうが好都合だと思った。

雨が降れば、もしかしたらまた佐尾くんが私の傘にいれてほしいと頼みにくるかもしれない。

そうすれば、洗濯し終えてからもう3日ほどスクールバッグに忍ばせて持ち歩いている借り物のタオルをやっと返すことができる。

佐尾くんは何も言ってこないし、私にタオルを貸したことなど忘れてしまっているかもしれない。

でも、借りている期間が長引けば長引くほど、教室でさりげなく返すタイミングを見つけるのが難しかった。

それに、普段佐尾くんと関わることのない私が、他のクラスメートたちがいる前でいきなり話しかけたりしたら、絶対に変に思われる。

だから、借りたタオルを返すには雨と佐尾くんが話しかけてくれるかもしれない偶然を待つしかない。

教室の中心で笑う佐尾くんや清水さんたちのグループから視線をそらす。

窓の外に浮かぶ灰色の雲を見つめて、私は小さく息を吐いた。


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