フツリアイな相合い傘


語尾を上げながら頷いたものの、私は不思議で仕方なかった。


「行こ」

元気よくそう言って昇降口から出て行こうとする佐尾くんを、少し遅れて追いかける。


「佐尾ー、帰んの?」

佐尾くんの背中を見ながら付かず離れずの微妙な距離で校門まで歩いていたら、校庭で部活の準備をしている同級生たちが声をかけてきた。


「あ、佐尾くんだ。バイバーイ」

「バイバーイ」

いろんなところからかかってくる声の中には女の子のものも混じっている。

そのすべてに平等に反応して、にこにこと手を振りながら歩いていく佐尾くんを後ろから見ていたら、テレビの向こう側にいるアイドルでも眺めているような。

なんだか、とても俯瞰的な気分になった。

相変わらずモテるな、佐尾くん。


彼の後ろを歩きながら、私なんかが一応一緒に帰っていることになっているのが申し訳なくなる。



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