フツリアイな相合い傘


「それはすごいね。10年も一緒にいたら、金魚でも家族だよね」

「もういいよ。この話は終わり」

佐尾くんの話に素直に感嘆の声をあげると、彼が恥ずかしそうに顔の前で手を振った。


「ていうか、西條さん。何気に俺のことに詳しいよね。部活のこととか、今の話とか。なんで?」

「なんで、って……」

佐尾くんが私の瞳の奥を覗き込むようにじっと見てくる。

言葉に詰まっていると、佐尾くんがその続きを催促するように、首を横に傾ける。

その仕草に、なぜかドキリと胸が高鳴った。


なんで、かな。

なんでかなんて、私にもわからない。

だけど、私が知ってる程度のことは、きっと同じ中学出身の他の女の子たちだって知っていると思う。

特に、彼に好意を寄せてる子たちなら。

例えば、中3のときの友人や、清水さんなら。



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