フツリアイな相合い傘
「だって佐尾くん、友達多いでしょ。それに、女子にも人気だし。そういう人の話は、私なんかの耳にも自然に入ってくるものなんだよ」
自分の口から出たその説明が妙にしっくりときて、ひとりで何度も頷く。
だけど佐尾くんは、なんだか納得のいかない顔をしていた。
チョコの家の前を離れて歩いていた私たちは、白い壁の3階建てのアパートの前でどちらともなく足を止める。
自宅の前に辿り着いた私が別れの言葉を告げようとすると、それより先に佐尾くんが口を開いた。
「なんかさ、すげー不公平じゃない?」
「え?」
佐尾くんが唐突にそんなことを言うから、さっぱり訳がわからなかった。
ぽかんと口を開けた私を、難しそうに眉根を寄せた佐尾くんがじっと見てくる。
「やっぱり、不公平だ」
「何が?」
もう一度同じような言葉を繰り返した佐尾くんに、困惑気味に問いかける。