フツリアイな相合い傘




佐尾くんと初めて話したのは、私が嫌いな雨の日だった。

その日は朝からずっと雨で、憂鬱な気分でなんとか1日をやり過ごし、1秒でも早く、と急ぎ足で家に向かっていた。

私の通う高校は、自宅から25分くらいかければ歩いて行ける。

バスや電車でも通えるけれど、電車の最寄り駅までは徒歩で15分。

高校のそばに停まるバスも、この駅前からしか出ていなくて、中途半端に便利が悪い。

自転車通学も許されているけれど、訳あって私はあの乗り物が好きじゃない。

それで私は、晴れの日も雨の日も、暑い日も寒い日も。

25分かけて徒歩で登下校していた。

25分の登下校も、晴れの日や曇りの日はいい。

暑くても寒くても、まだ我慢できる。

だけど、雨の日が一番つらい。

地面に跳ね返った水滴や傘から落ちてくる水滴が、靴下や制服のスカートを濡らす。




< 9 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop