フツリアイな相合い傘
ほとんど駆け足でコンビニに行き、目当ての食パンを手に入れる。
用が済むと、レジのお兄さんの顔もまともに見ずに、お釣りだけ受け取ってそそくさとコンビニを出た。
「あれ?和紗ちゃん?」
レジ袋を手に自宅まで一気に走り出そうとしていたら、自宅とは反対方向からやってきた誰かに声をかけられた。
なんとなく聞き覚えのある懐かしい声に、駆け出すのをやめて振り返る。
そこには、中3のときに佐尾くんのことが好きだった友人が立っていた。
「瑞穂ちゃん……」
それほど離れたところに住んでいるわけでもないのに、彼女に会うのは中学を卒業して以来だった。
高校に入学して間もなくは、メールをしたり連絡を取り合っていたけれど、元々大親友ってわけでもなかったせいか、だんだんと疎遠になってしまったのだ。