フツリアイな相合い傘
「和紗ちゃんて、確か佐尾くんと同じ高校だよね?」
「う、ん……」
瑞穂ちゃんが佐尾くんの名前を口にした瞬間、なぜかドキリとした。
だけど次の言葉を聞いて、さらにドキリとした。
「ずっと前の雨の日に、和紗ちゃん、佐尾くんと一緒に帰ってた?」
「え?」
肯定も否定もできずにいる私に向かって、瑞穂ちゃんが話を続ける。
「佐尾くんの横顔だけは遠目でもはっきりわかったの。中学時代好きだっただけのことはあるでしょ?その横に一緒の傘に入って歩いてる女の子がいて、その子が和紗ちゃんに似てた気がしたんだけど……違ったかな?」
瑞穂ちゃんが、小さく首を傾げた。
瑞穂ちゃんが言うとおり、きっとその女の子は私だ。
だけど、素直に「そうだよ」と肯定していいものか悩んだ。