虚構のシナリオ
「殺すわよ」








平野は表情を崩さず
微動たりともしない。



その横をすり抜けて
裕子は左手に子供の手をつなぎ



何事もなかったように
改札を抜けていく。



右手に
裁縫セットを握りしめた裕子が



駅から空港に向かう姿を




平野は何もせず
ただ見送るだけだった。

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