ふたつのハート
「 セイカも来いよ」

彼は、話していたつり革の人を呼んだ。

名前だったんだ…

ちょっとだけ目線を上げてみた。

けど、聞こえていないのか聞こえないふりをしているのか、反応がない。


「おい!セイカ!?」


山代くんが何回呼んでもふり向こうともしない…


「またかよ…」


山代くんから笑みが消えた…

すると私の耳元に顔を寄せてきて、囁き始めた。

(あいつさ…女嫌いで、あまり女子とはしゃべったりしないんだ…)


女嫌い?


(でも、何故かモテモテなんだよな…)


モテモテ……
ふと私はまたセイカ君のほうを見た。

雨の世界しか見えない窓のほうを見つめている。

アッ…

突然、セイカ君が振り向いた。

でも、すぐにセイカ君は目をそらした、同時に私も俯いた。


一瞬だけれどセイカ君が見れた


なんとなく、悲しそうな表情をしていたように感じた。

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