ふたつのハート

私と山代くんの間を無理矢理割り込んできた


「セイカ?どうした?」


山代くんが聞いても、それを無視するように、私の斜め前に座ったあの女子生徒達の前に行ってしまった。


(うそだろ?、あの女嫌いのセイカが!?
まさか、ナンパ?…)


女子生徒達は私達と同じ制服、しかしネクタイが赤のチェックだった。

2年生…

セイカ君に気づいた2人はすぐに会話を中断、セイカ君を見上げると口を手でふさぎ、なにやらソワソワし始めた。

すると

セイカ君は先輩達に話しかけた。


「ちょっといいでしょうか?」



「?!?…」


先輩達は言葉が出ないのか、何回も頷いていた。


「あの…教えてください?…」


先輩達は顔を見合わせ、嬉しそうに互いの手を握り合って、揺さぶっている。


「あたし?」

「ちがう!わたしよね?」

「ずるい~・・じゃあ…」


2人は立ち上がると、セイカの目の前にスマホを差しだしながら言った。

「いつでもいいよ…あたしのこれだから…」

「わたしのはこれね…ハイっ!」


セイカは困った様子を見せ、頭を手で抑えながら


「違います、俺が聞きたいのは、さっきの
サイレンの事で…」

「サイレン?」

「…なんだっけ?」

「あっ、天神川の水位がどうとかって…
てやつ?」

2人の先輩は急にテンションが下がった口調になって答えた。

「はい…水位のことを…」

「知らな~い…でも、すっごい雨だったから、それなりにヤバイんじゃないかなぁ…サイレン鳴らしてたくらいだもんね…」

「やっぱり…」


セイカくんは少し落ち込んだ感じだった。


「それよりさっきのライン、交換しようよ!」


「ケイタイ持ってなくて…」


セイカ君は、もとの場所へともどっていった。

『 じょうとー ! じょうとー !…』


駅に到着した、ドアが開くと生徒達は電車から降て行く。

知らないうちに、さっきの2年生の後ろについていた。


「今時、持ってないなんて、信じられるぅ?」

「あはは そんなわけないじゃん、軽く流されたんでしょうよ!」

「あんな子いたんだ…将暉以上!…チェックしとこ…」


ふ~ん…

山代くんが言ってたこと、本当だったんだ、セイカ君てモテるんだな…
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