ふたつのハート
城東駅から外へ出ると、どんよりとした灰色の景色が広がっていた。


電車の中で声をかけてくれた山代くん、そして、お話は一度もしたことないけれど、

山代くんのお友達のセイカ君、2人の後ろ姿を見ながら通学路を歩いて行く。


ーー

「マジにナンパだと思ったよ」

「ありえない」

「だよな、でもさ、美人だったよな、あの左側の髪の長いほうの先輩」

「ふ~ん、そうか?」

「どこ見てんだよ、そんなだからオレにも彼女ができないんだろ?」

「俺は関係ないだろ、自己責任…」

「あ~あ、まったくいいよなあおまえは、なんの努力もなく、いつだってあんな感じでさ、女子のほうから誘ってくるんだから」


「興味ねーよ、うぜえし…」


「…あ、それよりセイカ、天神川がどうのってなに?」


「ちょっとな…」


ーーー


後ろ姿なら、いつまでも見ていられる。

こうしてあらためて見ると、セイカ君の長身にビックリ、高いと思っていた山代くんでさえ小さく見える程だ。

もし、私とセイカ君が一緒に並んだなら、
大人と子供くらいの差になるのかな?

あるわけないけど…

少し歩くと

? 雨の音で良く聞きとれないけれど、今、天神川って…

アレ?

前の2人につられて、私まで違う道に入ってしまった。


< 14 / 85 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop