ふたつのハート
この時間に帰りの電車に乗るなんて、思いもよらなかった。


誰もいない車両に1人座って

はぁ…

ワンちゃん大丈夫かなあ
あそこから落ちたりしてないよね
お腹とかすかしてないかなぁ
寂しがってるだろうなぁ
しんぱい…

でも

…もしかしたら飼い主がもう来ていて、あの子を連れて帰っているかも知れないし…



窓をぼぅ~と見ながらそんなことを考えていた。


雨の景色をしばらく眺めた後、車内に目線を変えると、ひとつ隣の車両の奥に学生が1人乗っているのが見える。


私と同じ忘れもの?実際はちょっと違うけれどね


…?、
遠目で見ると、なんとなく彼に似ていたんだ…

他人の空似って、良くばあちゃんが言ってたけど、ほんとにあるんだなぁ…


…女嫌いかぁ…



< 16 / 85 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop