ふたつのハート

『非常に強い低気圧が接近しています!
春の嵐となりそうな強風と……
じゅうぶん注意して下さい…続きまして…』


「傘、持ってゆくのよ~!」

「うん…行ってきます…」


外へ出た途端、色のないの景色が広がる曇り空を見上げた、なんとなくブルーな気持ちになってしまう。


駅までの道のりを、いつものようにトボトボと歩いていた。


しばらくして橋を渡り掛かったその時、河川敷に小さな白いものがふわふわと飛んでいるのが見える。


なんだろう?


私はいつのまにか堤防の斜面を滑り落ち、吸い込まれるようにその場所へと近づいていた。


「あれ?」


河川敷のその場所に着くと、白いものはなくなっていた。


辺りを見回したけれど何もない、あるのは川のせせらぎと、風になびく雑草達のお喋りだけ。


次の瞬間


私のうしろに、なにかの気配を感じた。


おそるおそる、後ろをふりかえる。
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