ふたつのハート
発車してまもなく、山代くんが私の肩をツンツ
ンしてきた。

「何?」

「昨日はどうしたの?何かあったの?
ほら、忘れ物っていって帰って来なかったじゃん」


「あ…それは…」


「セイカもだよ、急用が出来たって言って、いなくなっちまうし」


セイカくんも?


私は目線をあげてセイカくんの表情を確認した。

へぇッ!?…

私を見て笑っている。


「ある人から依頼されて重い荷物を運んでいたんだ。まぁ40kgはあるかな…プラス小荷物、まぁ、そんな感じ…」


「引っ越しでもしてたのか?」


「まぁな…」


引っ越し?夜逃げ?じゃない、朝逃げ?


でも、セイカくんて結構おしゃべりなんだ。
昨日からほとんど話さなかったから、無口な人なのかなぁって思ってた。


「ふ~ん…たいへんだったな」

素直に納得する山代くん


「で?ちびちゃんのほうは?」


「わ、わたし?…は…河原で…」


「河原!?あの雨の中でッ!?…」


「そっか…もしかして、奈々瀬は水難救助?」


まぁそう言えばそうなるか…


「それです、水難の救助…」


「そっか、ちびちゃんもたいへんだったんだ」


またまた素直な山代くん


?…セイカくんて超能力者?…


私のこと知ってるみたいに…


でもあたってないけど、ハズレてもいない


?…


< 26 / 85 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop