ふたつのハート
「なるほど…セイカがひとりに…」

「うん…」


「そうだな、楽勝!…それはね…」


「うん」


「ト…」


「ト?」


「イ…」


「ちょっと…山代くん!」

ぷく~!!!

「わかッちゃった?…怒った顔もかわいいじゃん!」


「…私…まじめに聞いてるのに!」


キンコンカンコン!


私が教室へ戻ろうとすると…


「セイカさ…昼休みになると、屋上に貯水槽があってさ、たぶんそこで飯食ってるよ
、もちろん一人で…」


「屋上?」


「中学の時からそうだった…あいつ、四六時中、女子から監視されているみたいで、嫌だって、俺に良く言ってた」

「……」


「そういうのが嫌で人目につかない場所…
見つかって、また変えたりしてたのかなぁ正直羨ましいよな…俺からすれば贅沢な悩みだよ…」


「ありがとう…山代くん」


「で、ちびちゃん?何をする気?」


「な、なにって…ひみつ…」


「ちびちゃんは違うと思ったけど、他の女子と一緒だったんだなぁ…」


「一緒って?」


「無駄だからやめたほうがいいと思うけど…」


「だから違うの…上級生から頼まれたものを渡すの」

言っちゃった…


「なんだ?…それだけ?」


「そ、それだけって!…私にしたら重大な事だし、それに引き受けた限り約束は守らないといけないから…」

「まじめッ!でも安心したよ、まあ頑張って!」

「うん?…」

山代くんは教室へ戻って行った、私も追って戻ろうとした時


廊下の奥の階段から女子生徒がひとり、こちらに向かって歩いて来た。


雅…さん…


「あなた達、授業、始まるわよ!早く入りなさい!」


先生の声も霞むほどの威圧感を出し、私を見てニコっと笑った。









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