ふたつのハート
ピンクのハート…
あの時のと同じ形
「…頭が朦朧とした…ん?…そうだ、奈々瀬?…」
あっ!…
セイカくんは唇を指で押さえている。
「ごめんなさい!…だ、大丈夫?」
「奈々瀬こそ…」
「私はぜんぜん平気…セイカくんのおかげで…でも…大事なモノをセイカくんに…」
「…大事なモノ?…」
「なんでもないです」
そう言うと彼は立ち上がりながら、私に手を差し出した。
「負けたよ」
「受け取ってもらえますか?」
「今回だけ…奈々瀬以外はな…」
「ん?…それじゃあ、受けとってください」
セイカくんにラブレターを渡した。
「受け取ってくれて、ありがとう…」
「…それより…
『 キー…バタン』
その時、扉の閉まる音が聞こえてきた。
しかし
扉のほうを見ても誰もいなかった。
「奈々瀬?」
「は、はい?」
「ところで…ここから、降りれんの?」
「…ハッ!…そこまで考えてません…」
「だろうな…」
結局、セイカくんに手伝ってもらい、降ろしてもらった。
ごめんなさい…
…セイカくん
「ありがと…」