ふたつのハート
ライバル
今日はクラス委員の選定の日


先生は、教室の隅っこのパイプ椅子に座って、教壇の龍咲さんを眠たそうにして見ていた。


クラスでも1番の成績優秀な彼女が、既に委員長に決まっていたのだ。


「では、副委員長を決めたいと思います、立候補する人はいますか?」


誰も手を上げる人はいない…


「誰か推薦する人はいますか?」


シーン…みんな消極的…


「では、私からの使命になります、基本的に先日行ったテスト結果を参考に、選択してあります、はじめに副委員長…」


テスト結果を?…

それなら間違いなく私にはまわってこない、よかった…ホッ…


「高吉聖火くん」

セイカくん…

龍咲さんと…!?…


「高吉くん?…頭もいいの?」
「すごーい!カッコいいし、頭もいいし、
あー!」

教室中に騒めきが響く、と、その時


「静粛に!静かにしなさい!」


龍咲さんの声に威嚇され、シーンとなった教室内…

少しすると、男子からヒソヒソ声が聞こえてきた

龍咲って、おとなしそうでいて、メッチャ怖そー
そうだよな、でもまぁちょうどいいんじゃないの…
シメるの上手そうだし…


その後も立候補、推薦は無しが続き…



…「会計男子……佐藤健くん…」

ーー

「次に衛生美化委員…奈々瀬小梅さん…」


私!?…

「はい!」

なんで私なわけ?


「衛生美化…男子…山代絢斗くん」


山代くんは、私のほうを見て笑ってくれた。

私とペアだ…


黒板の前に並んでいた時だった、隣の山代くんが独り言を呟いていた。


龍咲のやつ…

うまいことやったな…



…うまいこと?










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