ふたつのハート
「ワンちゃん!!?いま降ろしてあげるからね~……!?」

つま先立ちになり、手を伸ばして子犬を降ろそうとしたけれど、優に30センチは足りない

ニックネームで、チビって言われているだけの事はあるかな!

でも、待てよぉ

うそッ!

「ワンちゃん?どうやって登ったの?」

見たところ橋桁の隙間の所までに行く道はなく、断崖絶壁だった。


「深く考えるのはやめよう、無事でなにより!毛も濡れてなさそうだし、とりあえずはひと安心だね」


よかった…


あッ。。。


よくない!


「たいへん!…がっコーッ忘れてた!!」


「アンッ アンッ!」


「はいはい わかりましたですよお、行ってきまーす!」


走り去ろうとした時だった。


カツッ

なに?


ローファーの先っちょに何かが当たった。


拾い上げてみると、桜色に光り輝く、まるで宝石のような半分に割れたハートだった。


ピカピカでキレイ…



「アンッ!アンッ!アンッ!」


「ひいッ!な、な、なに怒ってるの?
まさか、これ ワンちゃんの?」


「ウ~ッ アンッ!!」


「そんなわけないよね わ、わかったから、今度はほんとにいくから じゃあねッ!」


私はせかされるように、ワンちゃんと別れ駅へ向かった。



< 5 / 85 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop