ふたつのハート
翌日ーー


今日も天神川の橋のあの場所を見るため、一度たちどまる。


チビちゃん元気にしてるかなぁ…


いつものように駅ビルの広場で紗世と待ち合わせ、他の生徒達に混じりながら通学路を歩いて行く。


今日はあのふたり、いないのか…


「どうしたの?ちび、考えごと?」

「うん?、な、なんでもないよ、いこう!」

教室へ着くと、とりあえず挨拶。

「おはよう」

…と、言っても返ってくる言葉はない…

これも、いつものこと。


席に着くと横に紗世が来て、またいつものように2人でおしゃべりが始まる。


「今日は部活の説明会だね、紗世は何処に入るか決めたの?」

「それが…まだ決めてない、出来ればちびと一緒のがいいかなあって」

「うんうん…私も…まだ決めてないんだ、今日いろいろみてから決めようと思って…一応、第1希望はバトミントンか卓球?…あとは…」

「バトミントンか、いいかも…」


ところが、あの日以来いろんなことが、私の周りで起こり始めた。

そう、あの雨の日、ちびちゃんと出会った日から…


紗世と話をしていると、聞き覚えのある声が私達にかけられた。


「おはよう!奈々瀬さん…真谷さんもおはよう!」


龍咲さんが?…


私も紗世も予想外のことで、つい小さな声になってしまった。


「…お、おはよう…」


予期せぬ光景に、他のクラスメイトの視線が集中するなか、さらに龍咲さんは私に話しかける。

「奈々瀬さん?」


「はい?」


「今日の放課後予定とかある?」


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