ふたつのハート
龍咲さんがリュックを持って帰り支度を始めた…

「じゃあさよ、私、龍咲さんと…」

「ハイハイ…ちび!何かあったらすぐあたしに電話するんだよ、じゃあね、バイバイ!」

何かあったらって…

まるで龍咲さんが私に何かするみたいじゃない…

しかもめっちゃ大きな声で、聞こえちゃうよ…


「う、うん、ありがとう!ごめんねさよ…バイバイ~」


龍咲さんが来た。


「それじゃあ一緒に帰りましょう」

「い、一緒に?…う、うん…でも、私、天神川駅のほうだよ」

「同じ路線ね、私もよ、そこからバスで30分、明神町なの…」

「明神町…」

そうだった、龍咲さんも北中出身、セイカくん達と同じだった…

ということは毎日同じ電車に乗っていたんだ…

一度も見たことなかったから、見えてなかったのほうが正しいかな


「あの?龍咲さん?」

「なあに?」

「花壇のこと、私すごく楽しみにしてるの、学校中がお花いっぱいになったら、きっと素敵でしょうね」

「うん、奈々瀬さんもお花好きそうでよかったわ、でもあの学校、そういう雰囲気ないのよね…だから私、先生にお願いして、花壇のことOKにしてもらったの」

「頑張って綺麗なお花咲かせましょうね!」

「うん!そうね…ただ心配なことが…」


「しんぱい?」


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