ふたつのハート
「うん…」

「花壇を作るのに?、お金?、苗や種や肥料でしょ、そういうの買うのに、やっぱりないものがないとね」


「ちがう」


龍咲さんは電車の窓のほうを向き、遠くを見つめながらため息をついて


「あのふたり…」


「山代くん…それに、高吉くん?」


「あのふたりにわたし、嫌われているの、たぶんね…」

「なんで!?…それって恋愛だけじゃ…あっ…
ご、ごめん…」

「いいよ、ぜんぜん平気だから、山代くんでしょ?……(私ね、中学1年の時、高吉くんに告白したの)」

龍咲さんは自分のローファーを見ながら、ちょっと恥ずかしそうに呟いた。

「ちゅッ!ちゅういちで?…はやい…」

「早くなんかないよ、他の何人もの子が高吉くんに告ったみたいだけれど、全てout…これが3年間続いていたの…でも、もう諦めたわ…遠くから見ているだけで、それだけでいいって思ってるの」


「そんな、あきらめるなんて…あ、あの、何度でも…あきらめない気持ちが、夢を現実にするって言うじゃない…」


「フフフ、奈々瀬さんて、優しいわね、誰に対しても、それがたとえライバルでも…」


「…ライバル?…」


「ううん別に…こっちの話、気にしないで…えと、本題に戻すと、あのふたりが手つだってくれるかが心配なわけなの」






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