ふたつのハート
30分遅れの電車に乗り込んだ。

ワンちゃんには会うことができたけど、学校間に合うかな?…

濡れたリュックを降ろし、中からスマホを取りだし開いた。


・ ちょっと遅れるね、いろいろあって、もしかしたら遅刻!!!(*゚∀゚*)


さよにメール



いつもの時間帯と違って雰囲気が違う


乗客も少なめだから、ところどころ座席も空いていて、だからよけい目立つのかな?


トーンの高い若い男性の会話が、自然と耳に入ってくる。




「なにがあったんだよ?」


「別に」


「どう見てもおかしいよ!誰かにやられたのか?」


「なんもねえよ…」


「まさか…ケンカ?」


「ガキじゃねえし、するわけねーだろ…
車にやられたんだよ」


「くるま?…にしてもその汚れかた…」


…?ケンカ?…

…くるま?…


車とケンカ!?



目線を少しづつ上げて、その声の方に目を移す。


学生だ…


1人は肘を曲げ吊り革に、もう1人はその生徒の前の席に座っている。

座っている方の生徒が上を見ながら、話していた。

あれ?

あのストライプのネクタイは、うちの学校の制服っぽいけど…

同じ学校の生徒だと思ったら、ちょっと気になってじっと見てしまったようだ。


あ!…


その男子と目が合ってしまった。


たぶん…


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