ふたつのハート

「それじゃあ、ちびちゃん!」


「バイバイ」


山代くんと天神川駅で別々に…


いつもの商店街…

普通だと、何も考えずにただ通りすぎるだけの場所だった。

けれど、今日は違う…

私はカフェの見える場所で立ち止まった。

花壇プロジェクトのことを、セイカくんに話そうかどうか迷っていたからだ。

いつの間にか、カフェの入り口の前まで来てしまっていた。


ふたりだけの秘密…


そうセイカくんと約束したので、誰にも話せないし頼むわけにもいかない、私がやるしかないのよね


『 チリンチリン ♪ 』


入り口のドアを引くと、心地よい鈴の音が耳に優しく伝わってきた。

「いらっしゃいませ~ お客様?おひとりですか?」

「あ…はい」

「では、ご案内いたします、どうぞ、こちらへ…」

お店の中に入ると、綺麗なお姉さんが出迎えてくれて、奥の窓際の席に案内してくれた。


お店の中はレトロ調で、椅子やテーブル、それに照明などがアンティークで、大人のお店って感じかして、すごく落ち着くの

へぇ~、なんかいい感じ、ここで働いているのか…

でも…

セイカくんがいない…

店内を見渡しても、あのお姉さんしか見当たらない…

裏方?…食器洗いでもしているのかな?


「 いらっしゃいませ!メニューはこちらになりますねッはい、どうぞ…お決まりになりましたら、声をかけて下さいね!」


「あ、はい…」

食べに来たのではないないんだけれど…

う~ん…

あ!でも、このパンケーキ美味しそう!
飲み物は?…ミルクティーか、いいね…
これにき~めた!

「すみません…あの…(聞こえない?)
あの!すみません!…」


『 もうしわけありません、少々お待ちくださいませ…』

奥から、あのお姉さんの声が聞こえてきた。

なんかいそがしそう…

それにしても…店内は女性のお客さんばかり…

満席だぁ…

ふ~んすごい人気ね、もしかしたらあのパンケーキのせい?

だとしたら、楽しみ~


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