ふたつのハート
う~ん、まったりとふあふあで、クリームしっとりで仄かな甘さが、いいわね~

思っていた通り、おいし~!


パンケーキを食べながら、もう一度、店内をゆっくり見渡した。

後ろ姿しか見えない人もいるけれど、綺麗な人ばかり、まさかこの人達全員セイカくん目当てなんだろうか?

ところが、みるみるうちに…

ひとり、またひとり、お客さんが帰って行き…

とうとう私ひとりになってしまった。


「ありがとうございましたぁ!……やれやれ、彼がいないと聞いたら、みんな帰っちまったよ…やれやれ一休み一休みと…ん?…あッ!…まだ、1人いた!…」

お姉さんは、奥に居た私に気づかず、みんな帰ったと思いこんでいたのだ。

目が合ってしまった。

気まずい…


ミルクティーを飲んだらすぐ帰ろ


すると、お姉さんが私の席にやって来た。


「ふふ、変なところ見られちゃったかな?お客さんみんな帰っちゃったの…もし、あなたがよければ、さっきの続きしよっか?、ちょっとここ、座ってもいいかなぁ?」


「あ、はい…いいですけど…」


「ありがとう…」


お姉さんは私の対面に座ると、持って来たグラスをハートの形のコースターの上に乗せた。
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