ふたつのハート

グラスにストローが差し込まれ、それを手に持つと、入っていた黄色のジュースを一気に吸い上げた。

「はあ~我ながら美味しい…そういえば、良く見たら同じ学校の制服ね もしかしたら、彼と 同級生?」


「あ、はい、クラスも一緒です」


「なんだ! だったら毎日彼のこと見れるんじゃない? いいこと! 」


「いえ…見るとかじゃ無くて、伝えたいことがあるんです」


お姉さんは突然ジュースをパン!て置くと、それをテーブルの端にずりずりずりっと寄せた。

そして、テーブルに両肘をついて両手でほっぺを支えると、また、あの大袈裟な微笑みの表情になって、私を見つめている。

「なーるほどね、そっか!そーゆーことね!いよいよじゃない、あなた可愛いからいけるんじゃない?私も応援するわ!」


「はい?…可愛いいい?いけるってどこへ…ふ…え?…あの? …私はただ、学校で作る花壇の事で、相談したいことがあったから、高吉くんに会ってお話したいと思って、それでここへ…」


「花壇?…(あたし、告白の話だと…)は、ははは…」

「なにか?」


「いや…それなら彼、明日なら来るわよ、…でも、そんなこと学校で言えばいいんじゃない?」


「それが……


セイカくんと、それに関わる学校での事を全て、お姉さんに話した。


「…内緒…女嫌い…花壇が作れない…ふむふむ…なるほどね…彼って、だから無口なんだ」


「無口…」


「無駄口はいっさい言わないわよ彼、でも、そこがまたいいのよね、クールで…」


「はい…まぁ…」


「彼ね、夕方5時から8時までなの、前じゃ忙しいから、終わってからかな?そうすればお話できると思うよ…」


「はい、わかりました…」


結局、高吉くんには会えず帰ることにした。


「また来てね!待ってるから…
どうも ありがとうございましたぁ!」


「ごちそうさまでした」


『 チリンチリン ?』


外へ出ると、もうすっかり暗くなり、アーケードはライトでキラキラとひかり始めた。


パンケーキ美味しかったなぁ…でも…


さっき帰り際にお姉さんに聞いたらーー



高吉くん、なんで休むか言ってましたか?


病院へ行くからって、そう言ってたわよ…



心配…


高吉くん…




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