ふたつのハート
ーーー



「朝からついてないな…ん?」



話していた会話が途切れたと思ったら…


「ドアの近くに立ってる子、アレ!足下の黒のリュックの…」


ついに…来てしまった…



「おまえの うしろにいる子…」



あ~見なければ良かった…

今更もう遅いのはわかっている…

ああ、関わりたくない…


私は窓のほうにくるりんと振り返る。


ざーざー降り、窓に大粒の雫が容赦なく当たる音が聞こえる。


話の内容から、立っている生徒も振り向いて、私のほうを見ているんだろうな…



「なんかちょっと雰囲気違うけどさ…俺らのクラスの子っぽいんだけど…なんていったかなぁ…思いだせん!…」


「ちび…」


「セイカ!?…知ってんのかよ」


「確か…そう、呼ばれてた…」


…今、ちびって聞こえたけれど、気のせい?


「ちび?って…犬かよ?…マジな名前は?」


「知らん」


「だろうな……」


入学してから1週間、ようやくクラスの女子の顔と名前は一致したけれど、他のクラスの人なんてぜんぜんわからないし、同じクラスの女子でさえ話もしたことない人ばかりで…

ましてや男子なんて、顔もまともに見れないから、何組の人だろう?…


でもなんとなく聞き覚えのある声…



「偵察じゃあ!」


「いじめんなよ…」


「まかせなさい」


たしか…


ん?…


突然、下から顔がッ!!??


「おはよ!ちびちゃん!」



ひゃッ!!!…

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