ふたつのハート
翌日ーー

山代くんとは絶対に合わない様に、さよとの待ち合わせを30分早くした。


「ちび、おっはよー」

「おはよ~」

さよは走ってくると、いきなり私の横腹をツンツンしてきた。

そして、ニコニコ顔からニヤニヤ顔に変わると

「ねぇねぇ、昨日のあのメール、ほんとうなの?」

「…」

横に並んでいたさよは、私の正面に回りこんで
きた。

「ねぇ、ちび?」

「うん…城東駅のホームで…」

「なんて言われたの?」

「言われたんじゃない…」

さよは、また私の前に回りこんできた。

「え!?…じ、じゃあ、いきなり手を握られたとか?」

私は首を横に数回振った。

「違うの?…」

「…キス…された…」


「なに!?…そ、それって…
ちびは…流星のこと、どう思ってるの?」

私は首を横にふりながら

「わからない…彼氏とかそういうのはまったく考えてない、それに私、そういうの良く分からないし…どうしよう、ねぇ、さよ…」

さよは立ち止まり、少し考えると

「好きでもないのにキスするなんて、セクハラじゃん!一種の痴漢行為だよ…」

「…彼は私のことを好きだって言ってくれた…」

「順番が逆だよ…山代らしいわ……キライではないんでしょ、彼のこと…
まあ、
他に好きな人でもいれば別だけど…」


好きな人はいる、けど、彼には好きな人が…


わからない、どうしていいのか!



……



「ううん…」


「じゃあ…あとはちびしだいじゃない?…山代って明るいし、性格も良さそうだから…」

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