ふたつのハート
「ん?…だれ?……うわッ!?…ちびちゃんに、真谷!…?…」
そこへ来たのは山代くん…違う…と、もう1人
「おはよう!……奈々…せ!?…」
セイカくんだった!
私とさよがちょうど足していた時、それも、ふたりでにやけて、笑っている時だったのです。
慌てて、割ったけれど、すでに遅かったようで…
完全に誤解されてしまったみたい…
さよと私は見つめ合うと、お互いアイコンタクトで…
どうしよう!
私、なんとかしてみる
同時にうなずいた…
「ち、違うの!、これには訳が!…あのね…」
…この時、私の中で、何かがふっきれて、なんでこんなに、真面目に答える必要があるのか?
冷静に考えることが出来た。
何故かはわからないけれど、さよと抱き合う所を見られてから、そう思ったんだ。
そう考えたら、なんか可笑しくなってきて、
気持ちも楽になって…
ふふふ、「ふ、ふふ…可笑しい!…あのね、ふざけていただけだよ、へんでしょ?…ふたりて足したら、それを割ったら、最高の美女にならないかなぁ~って、ごっこ、してただけ…ふふふ…」
「ふふ…おもしろそうじゃん!最高の美女制作ごっこか…だったら、セイカ!俺達も最高のイケメン造りごっこしようぜ!」
すると、いきなり山代くんがセイカくんに抱きついた…
セイカくんが嫌がるのも押しきって…
そのタイミングで、良いのか悪いのか、教室にクラスメイトの女子達が、続々と入って来てしまったのです。クス…
このふたりが抱き合っている姿を見た彼女達は、大騒ぎ…
結局、私が弁解したのと同じようにしてた、山代くん見てたら、可笑しくて、可笑しくて…
…でも、私達に気を使って、山代くんがあえてバカになったフリをして、同じことをしてくれた?と思うと、気配りのスペシャリスト?とも思ってしまう。
さよにそれを言ったら、なわけないじゃん!て
山代、まじになれると思ってやったんだよ、だって目がマジだったし…
でもさ、もしかしたらさ、足した瞬間、高吉くんが逆にブサイクになったらどうするの?…
だって…
それを聞いたら、私また笑いが止まらなくなってしまったの…
この大騒ぎのおかげで、昨日のことを素直に受け入れられるようになって、私も素直になろうって、そう思ったんだ。
…あの時、お母さんが言っていた言葉を、思いだした。
…気になる人がいたら、素直な自分を見せなさい…
そうすれば、きっと…
セイカくんにも私の想いが届くのだろうか