ふたつのハート
ふたつの花びら
昼休みーー
誰もいない、北側の中庭の階段に山代くんが座った。
私も、ちょっと離れてその階段に座ると…
「昨日はごめん…いきなり…」
「あ……うん…」
「あのさ…最初に電車で会ったとき、覚えてるかな…」
「…うん…おはようって…声かけてくれたよね…」
「じつはさ…あの時からいいなあって、思ってたんだ…ちびちゃんのこと…」
「そうなんだ…」
「日に日にちびちゃんのこと…見るようになって…それで…我慢できなくて…昨日…」
「びっくりした…」
すると、山代くんは立ち上がり、階段を2段下がって、私の正面へ、そして
「驚かせるつもりじゃなかったんだ…つい……あの…俺、ちびちゃんのことが好きだ…だから…付き合ってほしい…」
私も立ち上がり、階段を1段下がって、山代くんの目線に合わせた。
「私のこと…好きになってくれて、ありがとう…嬉しいよ…けど、ごめんなさい…」
「え?…」
「私…好きな人がいるの…一生、片想いかもしれないけれど、気持ちは変わらない…
でもね、山代くんのことは好きだから、あの今まで通りの山代くんが好きだから、ずっとお友達でいてほしいの…」
「…好きな人いたんだ…そっか…わかったよ…気が変わったら教えてね…俺もちびちゃんのこと、ずっと好きだから、これからも、友達として、よろしくお願いします…」
「うん!ありがと、山代くん」
(…でも…あの柔らかな唇…)
「ん?…なにか言った?」
「いや…別に…」
「じゃ、もう行こう?」
「うん!」
山代くんとは、いい友達のままでいたいから…
だって、セイカくんの親友でもある、大好きな、彼の…