しふぉん・けーき
「真君は何か買いたいものとかあるの?」

「うん。
僕はね、帽子を買おうかなって思って」

「帽子?今日被ってるよね?」

「うん。そうなんだけど・・・
この帽子、少し古くてね・・・はら、見て。ここ解れているでしょ?」

「確かに・・・」

結構使い込んでいるように帽子がボロボロになっていた。

「これから暑くなるし、大の店に行こうにもこの帽子じゃ、ちょっとね・・・」

「あぁ~、何かわかるかも」

「でしょ?」

と、話していると、いつの間にか帽子を売っている専門店に着いた。

「いらっしゃいませ~♪」

と、出てきた女性店員が真君の姿を目にした瞬間、目が乙女の♥に変わる。

モヤ・・・

一瞬だったが、なんだか胸の奥が嫌な渦を巻いているように感じた。

き・・・気のせいだよね・・・?

「何かお探しですか~?」

「あ、いえ。大丈夫です」

と物腰よく丁重にお断りする真君。

「あっち見ようか」

と真君は私の手首を掴んで、店の奥へ進んでいく。
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