しふぉん・けーき
ちょっと強引で弱気な真君に私の心臓は止まらない。

「早く、俺のものになれよ・・・」

と、その途端に私の唇に柔らかくあたたかい感触を感じた。

以前、同じことがあった。

私をいじめた人に見せつけるかのように真君は私のファーストキスを奪った。

そう。あれは、私にとってファーストキス・・・

どちらも触れるだけのキスだが、離れた今でもその感触は鮮明に残っている。

でも、全然嫌じゃない。

何で嫌じゃないんだろうか。


風邪がうつったのだろうか・・・

ううん。違う。

理由は簡単。

私は、真君に恋しているからだ。

でも、それは私の心の中に秘めることにするの。

だって・・・私が真君の事が好きなんて、真君には悪いから。

これ以上、関係を最悪な方向に行きたくない。つまり、嫌われたくない。

だから、これは私だけの秘密なの・・・。

しばらくすると―――

「うわっ!!な、なっちゃん!?
なんで、僕の腕の中にいるの!?うつるよ!?」

と驚いた顔の真君がそこにあった。

「あはは・・・大丈夫だよ。うつっても」

「ダメだよ!!
なっちゃんは僕の大切な人なんだから!!
そんなの、僕が許さない・・・!!」

真剣な瞳で叱責する真君。

どうして、そんな期待しちゃうようなことを真君は言っちゃうんだろう・・・

期待しちゃってもいいってことなのかな?
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